霧多布湿原学術研究支援成果データベース

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管理番号51
年度2002年
研究テーマ草地基盤の効率的利用の農地集団化方策
研究者名管沼弥生
所属北海道大学大学院農学研究科
分類酪農
キーワード1農地
キーワード2
キーワード3
キーワード4
テキスト51 平成14年度
   北海道浜中町における地域農業の動向と農地問題-酪農専業地帯を対象として- 菅沼弘生
おわりに
以上、浜中町の実態調査分析を通して、土地利用と関わらせながら農地問題の実態について検討してきた。対象とした2集落は農地の需給状況に相違があり、昭和集落(茶内原野)では農地の不足、旭・東円集落(円珠別原野)では農地の過剰傾向にある。そのため、昭和集落(茶内原野)では農地移動の主導権が地主側にあるのが一般的であり、地主は賃貸によって毎年の生活費の確保を行う傾向にあったのである。この賃貸契約は長期化がほぼ前提となっており、草地更新の実施には差し支えはみられない。また、草地の分散に対しては、集落内においては草地の交換によって団地化が図られている。農地需要の高さを反映して集落の農地所有は互いに錯綜し合っているため、お互いが相手の宅地付近に草地を所有し合っているケースが存在するのである。このように、双方向の農地所有が前提となって、昭和集落での草地交換が行われていると理解できる。これに対して、旭・東円集落(円珠別原野)では農地は過剰傾向にあり、売買移動が主体である。集落外(共生集落)への飛び地もあるが、旭・東円集落と共生集落とは出作集落と入作集落の関係になっており、両者における農地所有は一方通行となっている。この場合、旭・東円集落では、飛び地の草地交換が成立しないため、飛び地の解消は不可能となる。今後、旭・東円集落の内部でも離農の発生が予測されるが、これらの飛び地の所有が足かせとなり、集落内農地を取得できないケースの発生が懸念される。このことに対して、浜中町農協では、処分したくとも出来ずにいる飛び地や今後の離農跡地を取得する農協出資の生産法人の設立を検討している。つまり過剰化する農地を公的部門が取得し、研修牧場として利用したり牧草の販売事業を行ったりする考えである。また、農業生産法人の設立により地域の雇用の創成を図り、過疎化に歯止めをかける意図もある。以上のように、北海道の酪農専業地帯といえども農地の過疎化が顕在化しつつあり、公的な保全・利用の仕組みが模索されている。
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