管理番号 | 12 |
年度 | 1996年 |
研究テーマ | 浜中町の河川水質と流域の土地利用について~湿原・林地・農地の関係~ |
研究者名 | 井上 京 |
所属 | 北海道大学大学院農学研究科 |
分類 | 環境科学 |
キーワード1 | 水質 |
キーワード2 | 流域 |
キーワード3 | 土地利用 |
キーワード4 | |
テキスト | 12 平成8年度 浜中町の河川水質と流域の土地利用について-湿原・林地・農地の関係- 井上京 研究の目的と背景 本研究は,地域環境の指標のひとつとして河川水質を取り上げ,流域の土地利用や,河川に接する土地の状況,河川の形態(自然河川/改修河川)が,浜中町の河川の水質にどのような影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的とした.水は様々な物質を,上流域・高台の農地・林地から,下流域・低地部の湿原や湖沼へ,さらに沿岸海域へと, 河川を通じて運んでいる.このとき,河川の水質が,流域の土地利用や河川形態とどのような関係にあるかということを明確にすることは,河川と,河川を取り巻く地域の環境を考える上で有益な指針となる.浜中町をはじめとする道東地方では,河川は湿原と深く関わってもいる.特に広く分布する低層湿原(低位泥炭地)は,河川水に涵養される湿原であり,その影響を直接的に受けるところである.また河川近傍の湿原は,周辺の土地と河川との間に位置して,フィルターのように機能しながら河川に水を供給している場,ととらえることもできる.その河川の影響は,湿原のみならず,下流の湖沼や沿岸海域にまでおよんでいるとみられる.そういう意味でも,河川を軸として,湿原,林地,農地といった流域内の土地形態,土地利用のあり方を検討しておく必要があろう.河川水質項目は,その際の有益な指標の一つである.道東地域では, 1960 年代以降,大規模な農地開発が行われてきた.その結果,現在ある酪農景観が形成されたが,一方で土地利用形態の大幅な変化,排水整備・河川改修による河道の直線化,林地や湿原の減少などは,地域の水質・水文環境にも影響を与えたといわれている1) 特に近年は,農業の経営規模が拡大し,多頭化飼育の傾向にある.これらが現境への負荷となっている面も否めない.今後,地域の持続的で安定したあり方を検討する際,地域環境そのものへの配慮を欠かすことはできず,そのための基礎的データとしても,河川水質の現状を土地利用との関係で把握しておく必要があろう.これまでの酪農流域での水質環境に関する調査・研究は1980年代以降に多く見られるようになった.大村・黒川2)は家畜糞尿の問題を水質保全の点からとらえ,検討を加えている.田渕ら3)は集水域の飼養頭数密度と NO3-N との関係について検討をおこなっている.さらに,長津ら1)は河川形態などにも着目し,大規模酪農地域の河川水環境の現状把握と保全について検討している.このように調査・研究の多くが経営規模,土地利用と水質の関係に着目したものが主体となっている.本研究では,酪農流域河川の水質状況を,流域の詳細な土地利用,河川および河畔の形態に着目し,営農状況との関連から考察,検討を加える. |
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